第7章 選抜合宿
「だからって何でこっちにくんの?!どういう思考回路してんの?このバッ…バーカ!」
あんな語彙力無くすほど、狼狽えたツッキーは初めて見るからちょっと面白いけど…これは笑い事やない
「ほんっとすみませんっ!」
みんなの後ろから走って近づく
「歩?!…君までこんなとこで何してんの?」
いつも冷静なツッキーがプチパニック起こしてる
「いや、翔陽追っかけてきたらこんなことに…」
「橘さん?」
国見くんが驚いた様子でこちらを見る
「国見くん久しぶり!…やなくて、ほんとみなさんすみません。こいつは責任持って連れて帰りますんで」
翔陽の腕を掴んで、来た道を戻ろうとすると穴原コーチに引き留められる
「君たち…ちょっといいかな?」
やば
選抜合宿の邪魔したんやもん
絶対怒られるやつやん
私と翔陽は恐る恐る教官室に入り、穴原コーチから学校に電話するように言われる
翔陽が烏養コーチに電話すると
「てめぇふざけんじゃねえぞ日向ゴルァァァ!」
受話器の近くにおらんくても聞こえてる
めっちゃ怒ってるやん…
それから武田先生にも何か言われたみたいで、翔陽は電話越しに謝りながらデスクに頭を打ち付けている
武田先生…いつも優しくて穏やかやけど
絶対怒らせたらあかんやつや
オロオロしながらその様子を見守ってると、鷲匠先生が受話器を取り上げて
「別に構わねぇよ、ボール拾いが1人増えるくらい」
と言った
そして、私の方をチラッと見て
「君か?烏野のマネージャー、橘さんと言うのは」
「あ、はい」
「君に電話をかわってくれだとよ」
そう言って受話器を渡される
「も、もしもし」
「おお、橘、俺だ」
受話器の向こうは烏養コーチだった
「すみません、私がいながらこんなことに…」
「いや、澤村に連絡してくれてたんだな。しゃーねぇ、こうなっちまったら鷲匠先生も、あー言ってくれてるし…日向は多分何としてでもソッチに参加するつもりだろうから、橘、お前がついててやってくれ」
「うぇ?!私ですか?」
「おお、鷲匠先生にはちゃんと言っておくから、お前日向が暴走しないように見張っててくれ、頼むわ」
「分かりました」
受話器を置く