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【ジョジョ】タロット~剣の暗示を持つもの~番外編

第2章 いってきますの〇〇【ポルナレフ】


まずい!まずい!まずい!
わけのわからない事がぐるぐると頭を駆け巡る。
知恵熱でも起こしそうになったその時、ポルナレフの声で私の思考はストップした。

「メルシー、アンナ。」

彼はそう言って私の肩に手を置くと、どんどん私に顔を近づけてきた。

彼の顔は、ほんの少しでも動けば触れそうな距離まで迫っている。
ポルナレフの見たことのない真剣な眼差しに、思わずドキッとしてしまった。

キスされるの!?私がキスしちゃったから?

私はどうして良いのかわからず、思わずギュッと目を瞑る。

チュッ。

「いってくるぜ。」

リップ音が聞こえたと同時に、おでこに柔らかい感触。
目を開けると、ポルナレフがこちらを見て微笑んでいた。

ポルナレフはすぐ手を放して、出口の方へ歩いていった。

おでこ、か…。
てっきり、唇にされるのかと…。

拍子抜けと言うか、安堵したと言うか。
とにかく、全身に入っていた力が抜けていくのがわかった。

気持ちが落ち着いてようやく、自分の顔が真っ赤になっている事に気がつく。
ポルナレフは、なんとも思ってないのかしら…。

もう彼は触れていないはずなのに、まだ心臓がドキドキしている。
おでこに手をやると、唇が触れていた部分がじんわりと温かかった。

「ポルナレフ、お前さんなんてことするんじゃ!わしの孫に!」

「ジョースターさぁん。愛の国、フランスではこのくらい普通ですよ!」

軽口を叩くポルナレフに、ガミガミと文句を言うおじいちゃん。
いつもの光景だ。

私が間違えてポルナレフに挨拶のキスをしたことは、とっくに忘れ去られているようだった。

(私をかばってくれたのか…。)

その光景を見て、私は彼の真意をようやく理解した。
もう一度ポルナレフの方を見ると、優しい眼差しでヒラヒラと手を振ってくれていた。

ドアが閉まって二人が出発してからも、私の胸の高鳴りは止みそうになかった。


(なぁんか、いつも見送りしてくれてた妹を思い出しちまったぜ…。)
少し切ない気持ちになったポルナレフであった。



ーおまけー

「たっだいま~!アンナ!おかえりなさいのキッスは?」

「調子に乗らないで、ポルナレフ!さっさと手を洗ってきなさい!」

せっかく上がった好感度は、彼の帰宅と同時にすぐに下がってしまうのだった。
現実は非情である。
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