第5章 抱きしめて?と言ってみた【オール】
【ポルナレフ】
「ハグミー!プリーズ!」
「あ?」
「抱きしめてって言ってるのよ!はーやーく!」
「わかったよ、マドモアゼル。」
ふわっと包まれるような、優しいハグ。
ダイナミックで男性的な香水と、タバコの匂いが混ざり合う。
改めてポルナレフに抱きしめられていると実感した。
「そんなに優しく抱きしめられたら、恋に落ちちゃうか、も。なんてね。」
「あんまり大人をからかうと、チュウするぞ?」
「フフフ…。そんなことしたら、花京院に言いつけてやるんだから。肘鉄でもくらってなさい。」
【アヴドゥル】
「アヴドゥル、抱きしめてくれない?」
「ハッハッハッ!珍しいじゃあないか、君が甘えてくるなんてな。」
優しくて温かいハグをくれる。
「アヴドゥル、あったかくて落ち着くな。」
「そうかね?」
「ZZZ…。」
「…アンナ?」
即寝。
マジシャンズレッド同様、アヴドゥルのお胸は温かいのだ。
「こうしていると、まるで子供だな。」
【花京院】
「花京院!抱きしめて!」
「…はぁ。そういう事は、愛する人とするものですよ、アンナさん。」
「でも、罰ゲームなのよ。トランプで負けたの。」
アンナさんの後ろで、ポルナレフと承太郎がニヤニヤしている。
反応から察するに、おそらく二人はグルなのだろう。
「ギュッといっちまえ!ギュッと!」
「うるさいわよ!ポルナレフ!!」
彼女の手は、ほんの少し震えている。
律儀な彼女のことだ。よっぽど緊張いるのに、あの二人におされて断れなかったのだろう。
(ここは、僕が男を見せないと。)
ギュッ
「ほえ?」
僕なんかよりずっと細く、柔らかいアンナの体を勢いよく抱きしめると、彼女は間の抜けた声を出した。
「はい、このくらいお安いご用ですよ。ところで…。」
惚けている彼女を椅子に座らせると、後ろの二人の方へ向き直った。
「二人にも、僕からのハグを上げないとな。ポルナレフ、承太郎。」
そう言って、ハイエロファントグリーンを呼び出す。
「わ、悪かったよ、花京院!そんなに怒るなって!あ、お前顔真っ赤じゃねーか!ぎゃー!!!」
この日、一番怒らせてはいけないのは花京院だと身にしみて実感したポルナレフだった。