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水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】

第12章 ※決断


2人で簡単に風呂に入り、体を清めた後、浴衣を羽織る。そしてまた部屋に戻る。

身支度を整える前に天空は胡坐をかいて座り、正面にあやを座らせる。
「あや」と呼び、唇に軽く口づけをし、あやの唇を自分の唇で数回咥える。あやの唇に視線を落としていたが、ふぃと視線を上げ、じっとあやの瞳を見つめながらゆっくり顔を離した。表情は余り無いが、名残惜しそうに。

ふぅと一呼吸おいて切り出す。

「あや、猶予は無くなった。俺が言った三つの選択肢から一つを選んでもらう。」


「・・・俺や天元を殺すときにはこれを使え。」

天空は袋から小さな薬包紙に包まれた小判型の錠剤を出して見せる。

「毒だ。これ一つで俺や天元位の大きさの人間が殺せる。飲んだらすぐに意識が無くなる。体は動かなくなり、一刻程で心臓が止まる。殺されたようには見えずに突然の心臓の病の様に死ぬ。」

「苦しむことは無いから安心して使え。」

「解毒剤は?」

「無い。必要ないだろう?」

ほら。とあやの掌に乗せる。

「どうする?天元を殺すなら近くまで送って行ってやる。飲ませたら報告しろ。俺なら今これを飲んでやる。・・・里に戻るなら一緒に行こう。」

あやは掌の薬をじっと見た。

(天元様の選択肢は無しだ。自分は自由になるが、不幸になる人が多すぎる。)

(里へ戻る選択肢も・・・無し。自分の為にも杏寿郎殿の為にも人殺しはできない。)

(・・・・ならば、残すは・・・・。こんなに好いてもらって申し訳ないが・・・。)



あやは決心したように表情を引き締める。そして薬包紙をそっと開くと薬を指に抓んだ。

「・・・・天空様。」

目を上げて天空の顔を見る。天空は頬杖をついてあやを見ていた。笑うでも、怒るでもなく、いつもの天空の表情。

「俺だな。分かった。あや、お前の守りたいものを全て守るには、その判断が妥当だな。」


「・・・・お世話になりました。」


あやは天空の近くに寄って、天空の目をじっと見つめたまま少し口を開いて自分の前歯に薬を挟み、顔を近づける。
それを見た天空は慌ててあやの身体を抱き寄せ、「ほら・・早くよこせ。」と、薬を口移しで受け取ろうとそっと唇を寄せた。

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