水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第11章 ※天元か天空か
あやは帰り道に天元から天空はいつ来るのか尋ねられたので、正直に「明後日です。」と答える。
それを聞いて天元は、「これからすぐに俺の屋敷に越してこい。」と言う。
天元の今夜の任務は担当地区の見回りだった。
あやは今夜から明日にかけての近場の任務が出ているのでその任務後ゆっくり引っ越したいと返す。
では、その任務後に鴉で連絡を取り合おうということで話が付いた。
帰り道に色々な話をしながら走った。あやは自分が知っていることは全て話した。天元も自分の事を話そうとしてくれたが、天元の屋敷に着いてから詳しく教えて欲しいと聞かずにおいた。もし、里で自白剤を飲まされた時に情報を持っていると喋らされてしまう可能性があるからだ。
あやの屋敷の前で「何かあったらすぐ駆けつけるから鴉を飛ばせ」と言われ、別れる。
あやは屋敷に戻ると、もうきっとここに住むことは無いと思い、綺麗に掃除をした。後で取りに来られるように身に付けたもの以外の荷物を縁の下に隠しておく。
そして、杏寿郎と天元に手紙を書く。
杏寿郎に心配を掛けないように『しばらく遠方で一人で修業を積みながら任務に向かいたいので、稽古に通えない』ということにした。でも、近いうちに必ず顔を出すので、その時にまた指導して欲しいという旨も加えて手紙を書いた。すぐに鴉に託す。
天元には、『一旦、これまでの潜入の報告をしに里へ行く。必ず戻るので帰ったら屋敷に招いてほしい。天元から聞いたことは何も喋らないので安心して欲しい。』『里に迎えに来る必要は無い。あやの鴉を里に連れて行くのは危険なのでしばらく預かっていて欲しい』とも書いておいた。この手紙は今夜の任務が終わってから届けるように鴉に頼んでおく。万が一を考えて、鴉の足ではなく、鴉の首に飾りを付けてその中に隠した。
杏寿郎に送った手紙の返事はすぐに来た。
「君はもっと強くなれる。俺は待っている。」と勢いのある美しい字で書いてあった。あやは杏寿郎殿らしいと微笑み、丁寧に畳んで胸の内ポケットに仕舞う。
里へは天元の暗殺を失敗したことを報告した。