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水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】

第6章 鬼殺隊員として


数日後
日が沈み、橙色の空が少しずつ夜の色になり始めた頃、杏寿郎は天元の屋敷を訪ねていた。
天元は杏寿郎を見るなり、
「呑みに行ってくる。」
と近くにいた雛鶴に声を掛けて屋敷を出た。先日の手首には包帯が巻いてあった。

屋敷が見えなくなると、杏寿郎が口を開く。
「・・・・宇髄。手首はすまなかったな。折れたか?」
「骨に亀裂が入ったよ。馬鹿力。・・・煉獄、何の用だ?」
「わかっているだろう?あやの事だ。」
「・・・知り合いのお嬢さんなんだろ?」
「違うのは分かっていた。最初から武術以外の心得がかなりあった。・・宇髄。今なら聞いてやるぞ。説明できるならしてくれ。」

「・・・気分が悪くなる話だぜ?」

個室の料亭に入り、適当に料理と酒を頼む。
天元は忍びの里でのことを杏寿郎に話した。あやは優秀なくノ一であること。幼いころから宇髄家の為なら命を投げ出す様に生きているため、自分の命の価値はほとんどないと思っていること。里の中での女は子どもを産むためだけの道具の様に扱われているということ。
そして、天元自身の親や兄弟の話もした。
故意ではないが、弟を2人殺してしまったこと。そんなことをさせる父親に心底嫌気が差して、その足で抜け忍になり、嫁を連れて逃げたということ。
杏寿郎は聞きながらどんどん暗い表情になっていった。

「・・・抜け忍は殺される。あやはおそらくその追手だ。・・・俺に近付くために鬼殺隊にするなんざ手の込んだことをしてきやがる。」
大きく溜息をつき、心底呆れている様に天元は言う。

「・・・宇髄。言いにくいことまで言わせて悪かった。しかし、言いたくはないが・・・・、君のいた忍びの里はひどい環境だな。が、なるほど合点がいった。」

「あやも少しおかしかったか?」

杏寿郎の顔を覗き込むように天元は言う。

「いいや、上手くなり済ましている。極限の稽古をすると武道ではない元々の身のこなしが垣間見えるだけだ。が、自分の価値を低く思っているというのは思い当たることがありすぎる。してもらうことに対して極端に慣れていない。稽古も俺が言えば言うだけ一言も文句を言わずに必ずこなすし、倒れるまで顔色一つ変えずにやっていた。」

「・・・きっとお前が命じたら飯も食わずに死ぬまでやるぜ。」

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