水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第1章 ※忍びの里
樹木の生い茂る山の裾野に張り付くように集落が点在し、家々は谷に遮られて見えにくい。見晴らしのよい丘陵の先端や谷の入口には必ずといっていいほど攻撃の基盤があり、侵入者や抜け忍は谷の両側から攻撃されると、退路が断たれる。
守りが堅く、攻め難い、そんな里に優秀な忍者の末裔である宇髄家一族とそれを取りまく忍者達が住んでいた。
昨夜、あやの双子の姉の須磨が当主の息子の天元と里を出た。正確には須磨以外の天元の妻2人も一緒で四人で。
そして残された須磨の家族・・・母親ははもう数年前に任務中に亡くなったため、父親とあやは宇髄家の当主の屋敷に朝から呼び出されていた。あやは5回、父は数えられない位殴られている。
「須磨がどこに行ったか知っていることがあるなら言え。」
と天元の弟である天空が言うと、近くにいる忍びが殴ってくる。「知りません。」ともう何回言ったか分からない。
・・・父は体中を殴られすぎてもう返事もせず動いてもいない・・・死んでしまったのかもしれない。
あやは天元を慕っていた。
忍びの里では、任務に必要とあれば生まれてすぐの赤ん坊でも人を殺す道具にされる。
でも、もしかしたら赤ん坊の内に囮になったり、流行り病の菌をばらまく道具にされたりして死んでしまった方が楽なのかもしれない。