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水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】

第16章 ※新月


あやは幼い頃からずっと週に一度は見る夢がある。黒い龍と白い龍の夢。怖い夢では無く、どこかひどく懐かしい。二頭はただあやを見てる。あやも二頭の竜を見ている。時々傍へ寄って来るが、何もしない。あやの瞳を覗き込んでまた戻る。
ただそれだけの夢。あやの好きな夢。起きるといつも少し暖かい気持ちになっている。


あやは今日入学式だった。都内の陸上の強豪高。
県外から入学の為、寮生活だ。

あやは昔から足が速く、跳躍力もあるため、中学で陸上部に入り短距離と幅跳びの選手になった。
素質があるのか指導が良いのかどんどん記録が伸びていったのでもっと打ち込みたいと思ってこの学校に決めた。
入学式が午前中で終わり、出席してくれた両親もさっさと帰ってしまったので、寮生活で新しくできた友達と陸上部の練習を見に行った。

あやは練習内容を楽しみにしていたが、友達は顔の良い先輩が目当ての様だった。
陸上部の大勢の先輩たちが整備されたグランドで練習をしているのを見て、明日からの自分の生活にワクワクしていたら、友達が呼ぶ。
「あや、ほら、あの人じゃない?これから跳ぶみたいよ。」
自分と同じ幅跳びなら見てみようと、言われた方を見る。


黒髪で2メートル近い長身の黒いウエアの男の人。下を向いて一つ息を吐くと走り始めた。走るフォームが綺麗で足も速い。
あやが目でその動きを追う。その人はあやの目の前に来ると驚いたような顔で見た。あやの飴色の瞳と黒い瞳の視線がぶつかる。
そのまま目を合わせたままその人は走り、踏み切りの手前でやっと正面に向いて踏み切って跳ぶ。
踏み切った瞬間から着地するまで手や足の動き全てがスローモーションに見えた。綺麗な空中姿勢。跳躍も高い。地面に足が着くとパッと砂が飛ぶ。着地も完璧だった。7メートルどころか8メートルも超えている。

黒い龍がいた。

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