第10章 夢の中で
「!!!!!!」
俺は身体を起こした。部屋はしんと静まり返っている。上に股がっていたはずの中彩がいない。ふと違和感を感じ、下を見ると俺の下着が白濁で汚れていた。中彩の熱に包まれ、コンドームに吐き出したはずだ。隣を見ると中彩がすやすやと眠っている。その服はまったくもって乱れておらず、中彩は俺が被せた布団の中で幸せそうな表情をしている。
「れんごくさん……」
寝言で俺の名前を呟く中彩に俺は、身体中の力が抜ける感覚を覚えた。俺は、夢を見ていたらしい。
なんという夢だ…
よもやよもやだ…穴があったら入りたい…
俺は夢で中彩と口付けをした生々しくも幸せな感覚を思い出した。少しの切なさと、溢れる愛しさを感じながら、眠る中彩の頬にそっと口付けを落とした。
君を傷つけずに済んで良かった。
俺は朝日が登りかけた部屋の中、下着を洗いに洗面台へと向かった。
頭が痛い。煉獄さんとお酒を飲んでいたのに、気付いたら家にいた。聞けば、煉獄さんが私を背負って連れて帰ってきたという。いい大人が迷惑をかけてしまった。申し訳なさと恥ずかしさに顔が見れない。ひたすら謝りながら頭を下げると、煉獄さんは首を横に振って「俺こそ、本当に申し訳ない」と言った。煉獄さんは何も悪いことをしてないのにどうして謝るのかわからなかったが、以前まであった気まずさが無くなっていることに気づき、私は嬉しくなった。
「こ、今度リベンジさせてください!」
「む、君は酒を飲まない方が良いのではないか!」
「ええっ」
「冗談だ!」
煉獄さんにそう笑われ、私はやはり何かやらかしてしまっただろうかと悩んだ。
そんな私の表情を見て煉獄さんは微笑み、「俺となら一向に構わない!だが、俺以外の男と二人では酒を飲むな!これだけは約束だ!」と頭をわしゃわしゃと撫でた。私は元彼の島田を思い出した。もう、彼がいなくても私はきっと大丈夫だ。
「じゃぁ、飲みたくなった時は煉獄さん、付き合ってくださいね!」
私がそう言うと煉獄さんは困ったように微笑みながらも「いいだろう!」と言った。私は煉獄さんの温かい手のひらが前よりも優しく私に触れるのを感じながら、その心地良さに目を細めた。