第1章 Episode:01*
一歩、足を踏み入れた瞬間に、一斉に視線を注がれたのが分かった。
まるで時間が止まったかのように無音だったのはそれこそ一瞬で。
次の瞬間には、私を見ながらクスクスと笑う声が教室中に巻き起こっていた。
「だっさ。みるからに田舎から来たっぽいじゃん」
「ひっどー!聞こえちゃうよー?」
「東京に憧れて来たのかなー?!いっとくけウチらの仲間には入れないから!」
数人の女子生徒からヤジを飛ばされる。
どう考えても理不尽な物言いだけど、情けないことに怒りより恐怖の方が大きい。
だって皆こわい。
制服を着崩してるし、髪の色も金赤茶その他諸々でカラフル。
黒髪で校則通りに制服を着ているのなんて私しか居ないんじゃないだろうか。
本当に同級生?
(ひいぃ……)
多分。いや絶対。
このクラスの子達は不良、もしくはギャルという類に分類されてるであろう人達だ。
証拠に、隣に突っ立っている担任の先生も若干震えてる。
こんな学校だなんて聞いてない。お母さんに騙された。
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