第6章 Episode:06*
呼び出し音が、一回、二回、三回、四回……気付いてないのかな、それとも私なんかからの電話には出たくない?
色んな可能性が頭の中をぐるぐる回っていたけど、それも七回目で途切れた呼び出し音のおかげでピタリと停止した。
『もしもし??』
「!」
野薔薇ちゃん。野薔薇ちゃん、だ。
たった数時間前に会ったはずなのに、すごく久し振りに彼の声を聞いたような気がした。
込み上げてくるものが目から溢れそうになるのをぐっと堪えて、酸素不足で喘ぐ肺を叱咤しつつ、
カラカラの喉から何とか声を絞り出す。
「はぁ、は、野薔薇ちゃ……っ」
『……?』
「、ま……っ今、どこに居るの……!?」
『今、は……ちょうど、雑貨屋を出たとこだけど……どうしたの、大丈夫?こそ今どこに居るの?』
「………っ」
どこまでもやさしい野薔薇ちゃんに、本当の本当に堪らなくなった。
どうしよう。野薔薇ちゃん、私。
私ー…。
*