第6章 Episode:06*
その冷たさとは裏腹に、胸はじんわりと熱くなっていって。
あぁ、戻って来たんだ。
漸く実感が湧いてきて、安堵から堪らず頬が緩む、もう一度その存在を確かめたくて、両手で抱えるようにしてぎゅっと握り締めた。
そうしてやっぱり、浮かんでくるのは。
(野薔薇ちゃん……)
もう遅いんだろうと思う。
でも、会わなきゃ。
もう一度会って、謝らなきゃ。
千切れてしまったチェーンが体現しているように、私にはもうこのペンダントを首にかける資格はないけど、でも。
それならそれで、ちゃんと、野薔薇ちゃんに。
「……っ」
どこもかしこも響くように痛い。
口の中も切れてるらしくて鉄の味が消えないし、片方の目だってうまく開かない。
けどもう止まらない。
公園から飛び出して、走りながらポケットからスマホを取り出す。
定まらない手元で、数える程の人数しか登録されてないLINEから探し出したのは、野薔薇ちゃんの名前。
躊躇う間もなく、すぐに通話のボタンを押した。
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