第6章 Episode:06*
「しつこいな…っ頭おかしいんじゃない?そんな必死にならなくたって、いらないわよ、こんなもの!」
あまりのしつこさに痺れを切らしたらしい綾瀬がが、鞄からペンダントを取り出して、私の足元に投げつける。
耳に響く、小さな金属音。その音を、私は半ば呆然としながら聞いていた。
「マジしらける……もう行こ」
「あ、う、うん……」
心なしか息が乱れている綾瀬が、他の二人を促して私の前から立ち去っていく。
完璧に人の気配がなくなったのと同時に、身体の力が一気に抜けたような気がした。加えて地面が崩れてしまったような感覚に、堪らずその場に膝をつく。
自然に目に入るのは、焦がれて焦がれて止まなかった、オレンジの宝石。
千切れたチェーン。装飾の部分にも、少し傷がついてしまっている。
けど。
(よかった…戻って、来た……)
土で汚れた手で恐る恐る触れてみると、ひんやりとした温度が指先に染みていった。
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