第6章 Episode:06*
公園に近付いていく内に、段々と人気がなくなっていく。
それが、あの公園がよく若者の溜まり場として使われている理由でもあった。
人通りがない上に周りに住居も数える程しかないから、どんなに騒いでも咎められないし、何をしても見つからない。
普段なら絶対に避けて通りたいスポットだったけど、今日は自ら足を踏み込む。
先へ先へと進んでいくにつれ聞こえてくる、賑やかな笑い声。
それだけで判別なんて出来ないけど、何となく予感はしていた。
居る。きっと彼女はそこに居るだろう。
例え居なくても、見つけるまで捜し続ける覚悟は出来てる。
けど。
心拍数が上がる。
上手く呼吸が出来ない。
だって、もう遠目に見えてる、から、見覚えのある三人が、ベンチに座って談笑している。
全員は居なかったものの、私が用があるのは一人だけ―綾瀬、だけ。
「ねぇ、あれ……」
「ん?」
中の一人が私の存在に気付いて、他の二人にそれを知らせる。
綾瀬が立ち上がって、今だに情けなく息を乱している私を見た。
小馬鹿にしたように、にやりと歪む表情。
でもそんなの目に入らない。私の意識を独占しているのは、ただ一つ。
綾瀬が持っている、あのペンダントだ。
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