第6章 Episode:06*
すっかり夜の色に包まれた街を走りながら、ポケットに入っていたスマホを取り出して時間を見る。
まだ九時を回ってない。
綾瀬達が夜遊びしてるのは有名な話だから、運が良ければまだこの辺りをうろうろしてるかも。
見つけたところでどうするつもりだ、なんて、もう誰も問いかけなかった。
どうするもこうするも、心はすでに決まっている。
何にも、誰にも、そして自分自身にだって、もう揺り動かされない。
(っ、ここにも居ない……)
ゲームセンター、ファミレス、ファーストフード店、カラオケ。彼女らが行きそうな場所は全部回ったはずなのに、どこにもあの集団の姿は見当たらない。
走りっぱなしだったせいで千切れそうになってる身体を叱咤しながら、何とか頭を働かせる。
後はどこがあったっけ。思い出せ、教室でいつも話してたじゃない。
この後どこに行く?みたいな会話を――――。
(………あ)
もしかしたら、あそこに居るかもしれない。
高校生がよく溜まり場にしてるっていう、公園。
うちの学校の生徒もよく使ってるって聞いたことがある。
(……行ってみよう)
胸が苦しい。
肺が痛い。
足が重い。
でも、そんなこと大したことじゃない。
何かを振り切るように、私はもう一度走り出した。
*