第1章 Episode:01
それから二ヵ月。
一週間に一回、あの店に行く日を自分で決めて通ってきた訳だけれど。
聞こえてきた会話の中で、彼女の名前を知った。
後ろを向いてる時だけじっと見つめてたら、姿勢のいい背中を覚えた。
店員さんとの会話から、このお店の常連であることが分かった。
コスメを選ぶ真剣な横顔を見て、茶色の瞳がすごく綺麗だということを発見した。
姿が視界に入っているだけで胸がどきどきする反面、幸せを感じている自分に気付いた。
その内、女の子として彼女に憧がれの念を抱いていることを自覚した。
だからと言って、彼女みたいになりたいとか、話してみたいとか、そんな身の程知らずなことは思ってないけど…見てるだけで、ほう、ってなる。
うっとり、してしまう。
そういう存在って、誰しもあると思うの。
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