第5章 Episode:05
逸らされた野薔薇ちゃんの瞳が、お母さんが私を見るような眼差しに変わるのを想像する。
駄目、駄目だよもう。
野薔薇ちゃんにまでそんな風に見られたら、もう生きていけない。生きていられない。
そうなる前に、寧ろ今。
今、消えてしまいたい。
そこまで考えたその時―声が、聞こえた。
“……、って、分かってるのに”
「……?」
“弱いって分かってるのに、どうして強くなろうとしないの?”
誰かが私に問いかける。
いや。誰か、なんかじゃない。ちゃんと分かってる。
内側から聞こえるその声。
私自身が、私に問いかけてる。
“分かってるのなら、あとはもう”
――――強く、なるだけ。
*