第4章 Episode:04*
「っ!」
ドン!ドガッ!
続けざまに訪れた肩や背中への打撃に、堪らず前につんのめる。
ブレた視界の先には、笑いながら前を行くいつものあの集団の姿があった。
振り回されているカバン。すれ違いざまに、あれで殴られたらしい。
「明日こそ学校に来なくていいからね!根暗ちゃーん」
「ちょっとアンタ誰に話しかけてんの?こっわー…きゃっ!」
最後まで言い終わらない内に、一人、また一人と、将棋倒しのように転んでいく五人。
彼女らも何が起こったのか一瞬分からなかったみたいだけど、一番最初に我に返った一人が、頭上で笑いながら様子を伺っているその人に噛みついた。
「何すんのよ!」
「わりぃ。足、邪魔だったよな」
怪我ない?とにっこり笑う虎杖くんに、何故か彼らが少しだけたじろいだのが分かった。
そして、何かに追い立てられるように立ち上がり、バラバラに駆け出していく。
「き、気を付けてよね!」
逃げるようにして行ってしまった彼女らの背中を呆然と眺めていると、にかっと笑う虎杖くんと目が合った。
久々に見る彼も、相変わらず華やかで。
私にはすごく素敵な笑顔に見えるのに、な。何であんなに怯えてたんだろ。
「久し振りーちゃん!」
「ちょ、虎杖くん、こっち来て…!」
一斉に集まった複数の視線を肌で感じたものだから、慌てて虎杖くんを引っ張って、学校の敷地内から連れ出した。
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