第4章 Episode:04*
胸をいっぱいにしてる罪悪感に似たようなもやもやは、野薔薇ちゃん想ってひとりでしてしまったあの夜から消えることなく、寝ても覚めても絶えず私を苛んでいる。
過ちがあの一度きりだったらまだ良かった。
けど、会うのを我慢してる反動なのか、夜になると私は催眠術にでもかけられたように自分の下半身へ手が伸びてしまって。
達した後、後悔するのは目に見えてるのに、どうしてもやめられない。
目を閉じて野薔薇ちゃんの姿を思い浮べて、自分の手を野薔薇ちゃんの綺麗な手に置き換えて。
もっと見て、もっと呼んで、もっと触ってって――――。
(……どうかしてる)
自分でも気持ち悪いと思う。
こんなこと誰にも言えないし、勿論野薔薇ちゃんには絶対知られたくない。断ち切らなきゃいけない気持ちだってことも分かってる。
でも、彼女のことを考えるだけで熱くなる身体と……どうやったって好きだと想ってしまう心が、そうはさせてくれなくて。
「………」
制服越しに、野薔薇ちゃんから貰ったペンダントをぎゅうと握り締める。
あの日以来、文字通り肌身離さず身につけてるそれを、私はこっそり学校にもつけて来ていて。
相変わらず打ちのめされることが多い毎日だけど、これがあると何故だか…まるで野薔薇ちゃんが傍に居てくれてるみたい、で、すごく安心出来るから。
あの日野薔薇ちゃんに言った通り、私にとってこのペンダントはお守りのような存在になっていた。
(……帰ろう)
ここでウジウジしてたって仕方ない。
返事が来ないことに安堵しつつも、少しだけ寂しさを感じている身勝手な自分を振り払うように、今だに楽しげな声で溢れ返っている教室を後にした。
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