第4章 Episode:04*
(……あ)
放課後。
帰る間際にスマホをみると、野薔薇ちゃんからLINEが来ていた。
内容は元気にしているかどうかの確認と、LINEが来ないから心配している、というもので、そして、最後には夕飯の誘いが。
簡潔な、でも温かいその文章を見てるだけで、胸がきゅうっと切なくなる。
会いたい。本当は、野薔薇ちゃんにすごく会いたい。でも会えない。
……会いたく、ない。
込み上げてくる矛盾だらけの感情に泣きそうになりながらも、細心の注意を払って返事を作成する。
元気であること、最近はテストが近くて勉強しなくちゃいけないから中々LINEが送れないこと、そして、今日はお父さんと夕飯を食べるから一緒に行けないということ。
それらの内容を文章にして、違和感がないか何度も確認してから、重い気持ちで送信ボタンを押した。
今送った内容は、ほとんど嘘。
元気なんてないし、テストはあるけどそんなにやる気がある訳じゃないし、何よりお父さんと夕飯を食べるなんてこと天地がひっくり返ってもあり得ない。
野薔薇ちゃんの誘いを断ったのは、これで三度目だ。
彼女は全然気にしてないかもしれないけど、相次ぐ言い訳じみた口実に、もしかしたら嫌な気持ちになってるかもしれない。
そう考えたら、もっと会うのが恐くなった。
野薔薇ちゃんは、何も悪くないのに。悪いのは、全部私なのに。
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