第4章 Episode:04*
(野薔薇ちゃん、もっと……)
もっと呼んで、もっと触って、もっと見て。
もっと、もっと、もっと、もっと――――。
「あ、野薔薇ちゃっ……!」
ドクン!
何かが弾けて、目の前が真っ白になる。
上下する胸そのままに、少しだけ濡れてしまった下着の中からゆっくりと指を抜くと、私の手を汚しているその粘着質な液体に愕然とした。
(私、何してるの……)
それを目にした途端、瞬時に我に返る。
私は今、誰のことを考えてた?
一体誰の名を呼んで――――。
「あ……」
ぽろり、と。
涙が、水滴となって目から零れ落ちたのが分かった。
こんなことするまで気が付かなかったなんて、私…野薔薇ちゃんのこと、そういう対象として見てるんだ。
そういう風に、好き、なんだ。
いつから、なんてどうでもいい。ただ今は、浅ましい自分への嫌悪感で胸がいっぱいだった。
「う……っひ、く」
何で泣いてるのかよく分からなかったけど、涙が止まらない。
(もう野薔薇ちゃんに合わせる顔がない……)
この普通じゃない気持ちに気付いてしまっては、私は今まで通りに野薔薇ちゃんと過ごすことは出来ないだろう。
こんな汚い自分、野薔薇ちゃんには絶対知られたくない。
何より、この行為によって野薔薇ちゃん自身も汚してしまったような気がして。
一度、達した身体は冷えていくばかりなのに…込み上げてくる熱い涙を、制することは出来なかった。
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