第3章 Episode:03
パンケーキ屋さんに行った後に、野薔薇ちゃんが買いたい物があるから、といつもの雑貨屋さんに寄ることになった。
「どう?これ似合ってる?」
そう言って、小さな赤いピアスを耳に当てる野薔薇ちゃん。
「う、うん!似合ってるよ!すっごく!」
大人っぽいデザインがとっても似合ってる。というか野薔薇ちゃんなら何でも似合うんじゃないかな?
キラキラと輝く可愛いアクセサリーの数々に、いつ見ても自分には到底手が出せない代物だなと感じた。
値段の問題じゃなくて、あまりに似合わない、から。
そう思ったら、何故だか急に目を離せなくなって。
視線の先には、シルバーのリングの中にゆらゆらと揺れるオレンジ色の宝石が組み合わさったペンダント。
じっと、見入っていると。
「……欲しいの?」
「!」
隣から聞こえた声にハッと振り向くと、話の肩から覗き込むようにして顔を出している野薔薇ちゃんが視界に入った。
あまりの近さにびっくりしてしまって、瞬間全身に力が入る。
「え、あっ、み、見てただけ……」
「ふーん。つけてみたら?」
ガチガチに強張ってしまった身体。そのまま動けなくて。
でもこんな距離で野薔薇ちゃんを直視なんて出来る訳ないから、目線は下のまま。
高鳴る動悸と一緒に、胸がまたあの熱を含んでいるのが分かった。
私の視線の先にあったペンダントを、チャラ、と指にかけて眺める野薔薇ちゃん。
そういえばさっき、つけてみたら、って聞かれたんだった。
「ううん…」
「?」
やめとく、と首を横に振ると、野薔薇ちゃんが不思議そうな顔をした。
なんでって、目が言ってる。
*