第3章 Episode:03
頭の中でグルグルと思考を巡らせていると、野薔薇ちゃんが私を庇うように言った。
「ごめん。虎杖がどーしてもを見たいって聞かなくってさ」
「だって。お前のなっっがい買いモンに嫌な顔ひとつしないで付き合ってくれるんだろ?どんな子なんだろうって思うじゃん」
「アンタほんっと失礼なヤツだな。もう気は済んだでしょ、さっさと帰れよ」
「えー俺もっと話したい」
「会わせてくれたらすぐに帰るっつっただろーが」
ごつん。
さっきよりは軽めのげんこつが、もう一発。でも痛そう。
野薔薇ちゃんと虎杖くんのやり取りに、私はただただ呆気に取られていた。
野薔薇ちゃん……虎杖くんにはほんとに容赦ない…でもそれだけ仲が良いってことなんだろうなって思う。
雰囲気が、くだけた感じ、だから。
胸の奥がツキンと痛んだような気がした。
―あれ、何で……?
「でも会えてよかったわ、釘崎こんな性格だから女子の友達少ないみたいだし、これからもよろしく頼むな」
「っ、え……う、うん」
振り払うような屈託のない笑顔を向けられば、勢いに釣られて返事をしてしまう。
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