第2章 Episode:02
「――……」
何でかな。すごく、すごく美味しく感じた。
久々に食べたから?いや違う。
目の前に優しい眼差しで、見つめてくれている人が居るから。
「どう?食べれそう?」
「うん…すごく、美味しい」
予想外の美味しさに半ば感動しながら正直にそう答えると、良かった、と野薔薇ちゃんがにっこり笑ってくれた。
つられるように、自分の顔が緩んでいくのが分かる。
「うん。そういう笑った顔の方がいいわよ」
「え……?」
「んーん何でもない。ほら、冷めちゃうから早く食べよ」
言って、どんどん食べ進めていく野薔薇ちゃん。
野薔薇ちゃんのさっきの言葉が気になったけど、その見事な食いっぷりを邪魔しちゃいけないような気がして、私も食べるのに専念することにした。
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