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*Pinkie*-呪術・釘崎野薔薇・GL-

第2章 Episode:02


 
「……何で一人暮らしか、聞いていい?」

「あ…うん。そんなに大した理由じゃないんだけど、ね」


本当に大した理由じゃない。


あの人にとって、私がいらない存在だったから。
ただそれだけ。


「……二年年前に親が離婚しちゃって、私はお母さんに着いていくことになったんだけど、すぐに彼氏作っちゃって…今は生活費だけ置いてほとんど帰って来ないの。お父さんも一年前に再婚したみたいで、全然会ってないんだ。まぁ、よくある話だよね」


別に悲しくなんかない。

思い出す度に、笑うしかなくて。

こうして話してる今も、へらへらしてるんだろうなって自覚はあった。

案の、定。



「……そういう時には笑うのね」

「……」



静かな、野薔薇ちゃんの声。


気まずくさせちゃったかな、と謝ろうとしたら、注文してた料理が来てしまって、完全にタイミングを失ってしまった。



「よーし!じゃあ食べるか!」

「う、うん…」



テーブルの上に所狭しと並んだ主食の数々。


圧巻だ。周りの人も、物珍しそうに私達を見てる。


いただきます、と箸を持つ野薔薇ちゃんを尻目に、完璧に圧倒されてしまった私は、ほかほかと湯気を立てている料理をただただ凝視していた。


そんな私に、野薔薇ちゃんが口を開く。



「。無理はしなくていいから、一口だけでも食べてみて?案外イケるわよ」



ほら、とナイフとフォークを渡されて。


ごくりと生唾を飲み込んで、目の前のチーズハンバーグと和風ハンバーグのセットを見つめる。

熱い鉄板の上でソースがまだジュウジュウいっていて。こういうの、普通の人ならすごく食欲をそそられてるんだろうな。


私の場合、食欲は相変わらず湧いてこなかったけど気持ち悪くはなかったし、野薔薇ちゃんが折角誘ってくれたご飯だったから。


一口、だけ。


チーズハンバーグの方を、口に入れて、みた。



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