第2章 Episode:02
引きずられるようにしてやって来たそこは、ファミレスだった。
名前だけは聞いたことがあったけど、外食なんて滅多にしないから、実際に来たのは初めて。
時間帯もあってか、店内はかなり混んでいた。
席に案内されて、渡されたメニューを開く野薔薇ちゃん。
水を運んで来たウエイトレスさんに、早速注文する。
「まず、特製シーザーサラダに、大根と水菜のゆずポン酢サラダ。それと、チーズハンバーグと和風ハンバーグのライスセットと、生姜焼き定食。後は、ナスと海老のミートソーススパゲティ……と、このカルボナーラも。それで、食後にショートケーキとガトーショコラをお願いします。、他に食べたいのある?」
やっとメニューから目線を上げ野薔薇ちゃんに聞かれるものの、呆気に取られすぎた私は、ふるふるとかぶりを振ることしか出来なくて。
注文を取ってくれてるウエイトレスさんも、目を真ん丸にして驚いてる。
時間をかけて注文を確認し終わったウエイトレスさんが行ってしまったので、恐る恐る野薔薇ちゃんに聞いてみた。
「野薔薇ちゃん…こんなに沢山注文しちゃって大丈夫?ふたりで、食べ切れる、かな……?」
「え?がひとりで食べるのよ」
あ、でもショートケーキは私が食べるから、と平然と言ってのける野薔薇ちゃんに、気が遠くなっていく気がした。
茫然自失している私を見て、野薔薇ちゃんがおかしそうに笑う。
「もう、冗談よ!食べれなかったら私が食べるから、安心して」
「あ、そ、そう、だよね…びっくりしたぁ…」
私が食べるって……本当にあんなに食べれるのかな、野薔薇ちゃん。
私は多分、セットでお腹いっぱいになる、から。
「あのさぁ。。いくら一人でも、ご飯はちゃんと食べなきゃ。だからこんなに細いんだよ」
「!」
言って、私の腕に手を這わす野薔薇ちゃん。
制服越しに感じた温もりに、身体も心臓もびくんと跳ねた。
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