第2章 Episode:02
日は沈みきり、時計は夜七時を回っていた。
…というか、制服の野薔薇ちゃんももすごく格好良い。
私服の野薔薇ちゃんもオシャレで素敵なんだけど、全身黒のシックな雰囲気も何だかいつもと違ってて…どこの制服か分からないけど、とにかく格好良い。ほんとに格好良い。
「じゃ、何食べたい?」
「へっ!?あ、えと……」
トリップしてたせいで、変な声が出てしまった。恥ずかしい。
に任せるよ、という野薔薇ちゃんの優しい言葉に、私の思考回路は複雑な迷路に早変わりしてしまったみたいだ。
食べたいもの………どうしよう、本気で思い浮かばない。
盛大に悩み込む私を見兼ねて、野薔薇ちゃんが助け船を出してくれた。
「じゃあ。普段は何食べてる?好きな物は?」
「普段……」
それなら答えられる。
「豆腐とか春雨とか…簡単で、食べやすいから、よく作ってるよ」
「………………」
瞬間、野薔薇ちゃんの動きがぴたりと停止した。
え、え?
私、何か変なこと言ったかな。
「肉」
「え……野薔薇ー…」
ちゃん?、と聞き返す前に、ぐっと腕を掴まれて、引っ張られるがままに足を動かす。
「肉か、もしくは米。炭水化物。取りあえず、なんか力になるやつよ」
「え、えぇ……?」
よく分からなかったけど、ずんずん前に進んで行く野薔薇ちゃんに、ただついて行くしかなかった。
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