第1章 Episode:01
駄目、駄目なの私。
外でも、こういう人達に目をつけられやすいというか、からかわれやすいというか、だから、日が暮れてからは極力外に出ないようにしていた。
振り払うことも、逃げることも出来ないから。
「なんか言えよつまんねぇな……それとも何?こんなとこで話すのは嫌なの?なら別の場所でー……」
「っ……して下さい………」
「あ?」
「離して、下さいっ……!」
みっともない位に震えている自分の声が情けなさすぎて、泣きたくなった。
「は?何、俺らが悪いことしてるみたいじゃん」
太い腕を首に回される。
重い、苦しい。
笑みが消えた眼差しが、ただこわい。
「うぜぇガキだな…大人をなめてんじゃー…」
「その子から離れてくんない?」
静かな、声だった。
私を含めた全員の視線が、その人に注がれる。
声の主は、野薔薇ちゃん、だった。
「おっさん、さっきから気持ち悪ィんだよ。さっさと汚い手どけろや」
「っ、てめぇ誰に向かって口きいて……」
「聞こえなかった?消えろっつってんの」
「………!」
有無を言わせない野薔薇ちゃんの声色に、男達が息を飲んだのが分かった。
私の心も、緊張しながらも徐々に沈静していく。
張り詰めた雰囲気の中、先に動き出したのは私に絡んできた男達の方だった。
「チッ……行こうぜ」
腕を離し、苛立たしげに背を向けて去っていく。
*