第1章 Episode:01
店に着いたのは、すっかり街灯に明かりが灯った頃だった。
この通りには雑貨屋さんの他にも、若者が集まるような店が沢山立ち並んでるから、夜になると一気に賑やかになる。
ギラギラ、ギラギラ。
濃い色とりどりの光に、耳に響く沢山の笑い声。
私が一番苦手な空気だ。
普段の私なら、夜になった街に出ようなんて思ってもみなかっただろう。
何故なら。
「あれ~女子高生がこんなとこで何してんのかな~?それとも中学生?」
わざとらしい猫なで声と一緒に、肩にずしりと何かが乗ったような感触。
浅黒く、太い男の腕だった。
気が付いた時にはもう、数人の男達に囲まれていて。
嫌な笑みを浮かべた無数の目が、品定めするように私を眺めている。
堪らず俯くと、今度は色々な形の靴の爪先が前髪の隙間から見えた。
「駄目だよ。JKがこんなとこにいたら」
「それとも援交?あ、今ではパパ活っていうんだっけ?」
他方向から上がる馬鹿にしているような笑い声に、もはや私の身体は硬直しきっていて。
足が縫い付けられたように動かず、喉もカラカラに渇いてしまって声さえ出ない。
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