第1章 Episode:01
「………。」
薄暗い室内。
あぁ、そろそろ電気点けないと。もう夕方だ。
待ち焦がれていた休日が、もう終わろうとしている。
いつも通り、今日も一人だった。
(お父さん、元気かな……)
ふとそんなことを思う。
いや、私が気にかけなくても元気にやっているに違いない。
新しい家族と、楽しくて幸せな生活を。
私のことなんか忘れて―。
「っ……!」
そう思ったら、吐き気のようなものが胸まで込み上げてきた。
腹の底から、ぐぐぐ、と。
重くて、冷たくて、大きくて、でも絶対に外には出ない。
空振り気味の嗚咽だけが部屋の中に響く。
「ぉえ……っは、ハァ、う………」
堪らず身体をくの字に曲げて、波がおさまるのを待った。
時々……いや、頻繁にと言ってもいいかもしれない。
風邪は滅多にひかないけれど、あるんだこういうのが、今みたいな吐き気だったり頭痛だったり腹痛だったり症状は様々だけど、病気でないことは分かってる。
多分精神的な。家のこととか、学校のこととか…でも、全ての事柄の根源は間違いなく私の弱さ。
圧倒的な、弱さ、だ。
弱いから疎まれる。
弱いから嫌われる。
弱いから笑われる。
弱いから人の目が見れない。
弱いから―…
「………っ」
野薔薇ちゃん、格好良いあなたに憧れた。
*