第14章 姫さん、特訓する
※ここからはアクションシーンとなります。
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ヒュンッ!!
「!」
開始と同時に二人から手裏剣が挟み撃ちするように飛んできた。
華音は咄嗟に床に手をついて伏せて手裏剣を避け、すぐさま体勢を戻して場所を移動する。
移動した先は片方の、背が高い方の女。
木刀を相手の頸に向かって振り翳し、相手もまた苦無2本を交差させて受け止める。
ガキンと双方の武器に衝撃が走り、反動で跳ね返った。
そして、
ドカッ!
「っ!」
華音は跳ね返った勢いを利用して、そのまま回し蹴りをしてもう片方の背が低い方の女を壁際まで吹っ飛ばした。
女は素早く受け身をとって衝撃を緩和する。
その間に華音は木刀を逆手持ちにして、背の高い方の女に追い討ちをかけるように木刀を突き出した。
「!」
突き出された女は苦無で受け止めて後ずさる。
一見華音が有利かと思いきや、華音を二人が両側からほぼ同じ距離で囲う形になる。
二人は同時に華音の方へ走り出し、逃げる道がないように横から苦無を振り翳した。
(どちらかを防げばどちらかの攻撃は当たる)
ここまでかと思ったその時、華音はなんと木刀を後ろにフッと手放した。
空中にある手放した木刀を順手持ちで再び掴み、そのまま後ろから前に大きく縦で薙ぎ払った。
薙ぎ払った木刀の刃は、どちらにも命中する。
「!?」
曲芸じみた動きにはさすがの光秀も瞠目する。
相手二人にとっても、一瞬何が起こったのか分からなかった。
そして気がつけば、華音は二人の首を掴んで床に伏せさせていた。
抵抗できないのは、華音は首と一緒に自分達が持っていた苦無も握っていて、少しでも動けば苦無の先が当たるから。
「そこまでだ」
光秀の終了の合図を聞いて、華音は掴んでいた首を離した。
苦無は二人の手元に置き、静かに礼をする。
息を切らしながらも礼節は失わない。
「…ありがとう、ございました。……これで、馬の乗り方、教えてくれますか」
「…ああ」
その時の華音の表情は、先程よりも幼かった。
“___おそらくあの娘は、潜在能力がこの国の誰よりも高い”