• テキストサイズ

【イケメン戦国】白衣の戦姫

第30章 名も無き戦い


本当はすぐにでも、華音を遠ざけたかった。
安全な場所にいてほしかった。
傷つかないでほしかった。

でも、



『光秀どの、迷わないでください』



華音には全てお見通しだったようだ。
俺が「織田軍の裏切り者」と「将軍殺し」の汚名を雪ぐ気がないと、そのまま安土に戻らないつもりだと知られていた。
だから華音は、自分の身を投げ打ってまで俺を連れ戻そうとした。

身体だけではない。
自ら蓋をし忘却した、魂の柔らかい部分までも、華音は俺の手に再び戻した。
苦痛、不安、恐怖、悲嘆、そして希望。



(何があっても華音は死なせない。そして俺も___)



“それ”に気づいてしまえば、弱みを見せてしまうと思った。
だから蓋をした。
何も感じなくなった。
なのに、その蓋を華音が遠慮もなしに開けた。
だが俺は今、本当に弱いだろうか。

否、死にたくないという人間が弱いということは絶対にない。
他でもない華音が、誰よりも自分と他人の命を大事にしていて、誰よりも強いからだ。
/ 252ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp