第26章 姫さんと狐の仲間探し
「光秀どの、私も貴方と同じ気持ちです。私は貴方に無茶をしてほしくないし、傷ついてほしくない」
叶わないとわかっていても、願わずにはいられなかった。
だから華音は誓ったのだ。
光秀が無茶をするなら、自分もその無茶の半分を背負うと。
「約束します。私は最前線には出ないし、武器を持って戦ったりもしない。ですので、光秀どの。
迷わないでください」
「……っ」
光秀に華音という守りたい存在ができたことで、少なからず迷いが生じていることに華音は気づいていた。
戦場での迷いは命取りになるから、光秀には迷ってほしくなかった。
「光秀どのは、最も大切な思いが、自身のすべてであることと、自身の芯であること、どちらが強いと思いますか」
「……後者だ。芯であるから、最後まで守り通せる」
「そうですね。だから貴方は、そうあってください」
何の迷いもない凛とした笑みを見て、光秀は肩の力が抜けたように苦笑いをした。
「…かなわんな」
早朝、佐助と幸村と合流した光秀たちは、人気のない山道を登っていた。
「華音、ついてこれるか?」
「平気です。山は慣れています」
「そういえば、親に何度も山に放り出されてたって言ってたね」
「そう。コートの下に裸族で迫ってきたおっさんを半殺しにしたときとか。やりすぎだって言われた」
「物凄いパワーワードが聞こえた」
「向こうの公然猥褻罪とこっちの過剰防衛でチャラになったけど」
正直佐助は、華音の容姿については『現代でも大変だっただろうな』と軽く思っていたが、まさかここまで闇が深いとは思っていなかった。
そして佐助の記憶が正しければ、華音の両親が亡くなったのは彼女が幼少のころだったはず。
やたら美しい幼女が裸族の変態を半殺しにする絵面は想像したくなかった。