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【イケメン戦国】白衣の戦姫

第22章 水色桔梗と鈴の祈り


天主に呼び出された華音を、信長と険しい顔の秀吉、不敵に笑う政宗が待っていた。



「明日、俺は秀吉と京へのぼる。華音、貴様も来るが良い。織田軍を裏切った化け狐に会いたければな」

「……!」



華音の心臓が大きく波打った。



「居場所が分かったのですか」

「ひとりだけ、あいつの尻尾を捕まえかけた男がいたんだ。まんまと逃げられちまったけどな」

「……政宗どのが?」

「そういうことだ。あいつは俺にこう言い残した」



“___俺はこれより、さるお方の手足となり、信長様を討つ。追えるものなら追って来い”


『信長様を討つ』という言葉が、華音の頭に引っかかる。
そして、順を追って説明された。

西方の国で企てられた謀反は、華音と光秀の働きによって未然に防ぐことができたが、『信長打倒を企む一大勢力が新たに現れた』という虚偽の噂を、公家連中は信じ込んだままであった。
同じ時期に頻発した越後での謀反騒動も、虚偽の噂を後押しした。
故に、信長と光秀は公家連中を宥めるために京へ出向くことになった。
その直前に発覚された、光秀と顕如の共謀の疑い。
信長は、この一連の出来事が全て繋がっていると考えた。

小物の大名たちがあちこちで謀反を起こすように、けしかけた者がいるということ。
各騒動が起きた時期と治まった時期は、どれもピタリと一致する。

敵の本当の狙いは、謀反ではなく、信長を京へ呼び寄せること。
何故京なのか、それは、たとえ信長でも大軍を率いて武力を持たない朝廷のいる京へ出向くことはできないから。



「そして……脱獄して安土を出て行ったあの大馬鹿野郎は、織田軍の内情に詳しい」



さまざまな情報をかいつまみ、華音は簡潔かつ明瞭な結論を言った。



「つまり光秀どのは、こんなまどろっこしい手を使ってでも信長様を京に誘き寄せて闇討ちしたい者のところへ行ったということですか」

「呑み込みが早くて助かる」

「………」

「ぶっ」



全く言葉を選ばず、あけすけに言いのけた華音に信長は満足気に頷き、秀吉は何とも言えない顔をし、政宗は吹き出した。
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