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【イケメン戦国】白衣の戦姫

第21章 狐の謀反


「ご苦労だったな、華音」

「はい。光秀どのも」



城の門前に、大勢の兵士たちが出迎えに来ているのが見えてきたところで、二人は馬から降りる。
信長への報告内容を頭の中でまとめていたその時、



「そこを動くな、光秀殿!」

「華音様、お下がり下さい!」



刀を抜き放った兵たちが、一斉に光秀を取り囲む。
数人がかりで羽交い締めにされ、光秀は膝をついた。
華音は兵によって、乱暴こそされないものの光秀のそばから引き離された。



「おやおや、ずいぶんと熱烈な出迎えだな」

「何を……」

「光秀殿、信長様への反逆を企てた罪であなたを投獄いたす!」

「…………」

「光秀殿が捕らえた顕如の手先が、白状した。『明智光秀は我々の同胞だ』とな」

「ほう……?」



兵が言った言葉に華音は絶句する。
短時間で処理するには、あまりにも多過ぎる情報量だ。
無駄によく回る頭が、いつかの時に目撃した光秀の密談の記憶を掘り起こした。



「バレてしまったのなら仕方ない。煮るなり焼くなり、お好きなように」

「っ……投獄しろ!」



光秀が縄をかけられ連れられて行く。
罪人にはとても見えない、堂々たる態度で。
怖いものなど何もないと言いたげな顔で。



「光秀どの!!」



華音が強引に抜け出そうとするが、所詮は男女の力の差。
諫める兵によって押さえつけられ、その先へは行けない。

姿が見えなくなる間際、光秀が首だけを華音に向けた。



「華音、お前との旅は、なかなか楽しかったぞ」

「………!!」



私も楽しかったと言いたいのに、声が出せなかった。
光秀の華音を見つめる眼差しは温かく優しく、まるで、華音を目に焼き付けているかのようだった。



「……放してください」



華音を取り押さえる兵にぽつりと呟く。
光秀の姿はもう見えなくなり、抵抗することもないと判断した兵は大人しく手を放した。
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