第2章 余裕 *冨岡義勇/R18*
この状況を説明できる人はいるでしょうか…?
彼女は今、先輩に押し倒されています。
【 余裕 】
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社会人になって2年目の春。
今日も会議の為の資料準備や、会議室のセッティング、来客の確認など、主に雑用係的なことを慌ただしく準備をしていた。
「おい、!お前、A会議室の準備まだか!?」
「B会議室、あと30分で皆集まるぞ、早くしろ!!」
「は、はい~っ!!急ぎますっ!!」
、
只今絶賛プチパニック中。
上司達に急かされ、更に慌てて準備を急ぐ。
だけど急ぎたい気持ちとは裏腹に、抱えている段ボールが重くて思うように足が前へ出ない。
段ボールにはペットボトルのお茶がいくつも入っている。
「(ひぃぃっ!!なんで寄りによって会議が2つも被るのー!聞いてないよー!)…ぅぎゃっ!!!!」
ぐきっ
足を挫いて、バランスを崩し見事に転倒。
顔を上げれば床に散らばるペットボトル達…
「うわー…さいあく…」
若干痛む足首を労りながら、散らばったお茶達を拾いあげ、段ボールに入れていく。
すべて拾い終え、再び段ボールを持つと
ボト、ボト、ボトボトボトボトーー
「ぎゃー!!!も、もうなんで…」
転んだ拍子に段ボールの底が破れてしまったらしく、また振り出しに戻ってしまう。
「ぶっ、はははっ!!!おいおい、何遊んでんだよ!」
噴き出して笑う声の主を振り返る。
「う、宇髄さん…」
一番見られたくない人に見られた。
腹を抱えて笑っている人物。
宇髄天元だ。彼はと同じ部署の先輩。
いつもを面白がっていじってくる、彼女にとって少し苦手な先輩だ。
「おら、急いでんだろ?手伝ってやっから、早く拾えよ」
「え?あ…す、すみま、せんっ…ありがとうございます」
日々のいじりを詫びるかのように、たまにこうして手伝ってくれる。本当はとっても心優しい先輩なのかもしれない…