第1章 チョコと煙草 *宇髄天元*
【チョコと煙草】
2月14日 バレンタインデー
その日になるまで後、数日となったある日。
俺はいつものように、昼休み過ごしている場所に向かっていた。
「宇髄先生ー!」
そう呼ばれる俺は、とある高校の美術教師をしている。
生徒の黄色い声に応えて手を上げれば、また再び黄色い声が上がる。その声に背を向けて、また再び歩き出した。
ガチャン
少し錆び付いた重い扉を開くと、一気に冬の冷たい空気が流れ込んでくる。
「おー、さぶっ…」
寒さで少し震えつつ、ポケットに入っている煙草を取り出し、火をつける。
「ふぅー…やっぱ、冬に吸う煙草は格別だな。」
一言呟いて、壁にもたれ掛かり空を仰ぐと真っ青な空が…
「あ、いたいた!」
そう言ってひょっこりと顔を出した女。
""
この学校の生徒であり、俺の想い人。
「また来たのか。毎日毎日、飽きねーな」
そんなことをいいながら、本当は会えて嬉しい。
俺はこの時間が好きだ。こいつのクラスはあまり授業を持たないから、昼休みしか会えないこいつと一緒に過ごせるのが嬉しい。
「えー?いいじゃん、嬉しいでしょ?」
ニコニコと笑いながら俺の隣に腰を下ろす。