第6章 Night 6
土「なんもなくねぇだろ」
土方さんはしゃがんで私と視線を合わせようとした。
もっとも、私が俯いているから
目が合うはずはないのだけれど。
『……』
土「……」
『......』
土「……」
そのまま沈黙が続いた。
その沈黙は長いような短いような
どっちかわからなかった。
土「はぁ、」
土方さんは呆れたようなため息を漏らした。
その声色に心臓が止まるかと思った。
言わなくても≪めんどくせぇ≫って
思ってるのが伝わってくる。
『ご、ごめんなさいっ』
土「あ?」
『ごめんなさい……』
嫌われるのが怖かった。
ここにいられなくなるのが
怖かった。
そのまま逃げるように近藤さんの部屋へ向かった。