第4章 番外編
そしてよく祖母が話してくれた
《あやめにね、もし怖いものが襲ってきても、きっと“主様”が助けてくれるよ》
あ《ぬしさま?》
《そう、あやめは特別だから。いつも側で見守って下さってるんじゃよ》
《でも、あやめにはみえないよ…》
《見えなくても、いつも側にいるんだよ。いつかあやめが“名”を呼べたら会えるかもねぇ》
《会えるかな?会いたいな、ぬしさまに》
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あ「ぬし、さま……」
伏「あやめ?」
突然ボーッとしたあやめに伏黒が声をかける
あ「あ、ごめんね!おばあちゃんの事思い出してて…そうだ、伏黒君って式神を使うんだよね?」
伏「あぁ、この間見た玉犬が俺の式神だ」
あ「あの子達ってどうやって召喚してるの?」
あやめは伏黒から式神の召喚の仕方を聞いたり、伏黒の手を真似してみたり、お願いして実際に玉犬を出してもらいもふもふを堪能した
玉犬達もあやめに凄く懐いた様だ
二匹ともべったりくっついて離れやしない
あ「伏黒君はいーなー、こんな可愛い子達を毎日もふもふ出来るんだもんなー」
伏「いや…別に俺はもふってないぞ;」
未だに玉犬を撫でながら“羨ましいなぁ”と呟くあやめを見ながら、伏黒は少し眉間に皺を寄せた
あ「それに、伏黒君って手キレイだよね。召喚する時の構え格好いいもん(ニコッ」
サラリと“格好いい”と褒めるあやめに、ドキッとする伏黒
悟られない様に“そんな事ない”とそっぽを向くが耳に熱が集まる
あ「そんな事あるよ?…ってだいぶ長居しちゃったね。そろそろ部屋に戻るね、お砂糖ありがとう」
玉犬達も名残惜しそうに“くぅーん”と鳴いている
ドアノブに手をかけたあやめがくるりと向くと、伏黒は頭を掻きながら
伏「なぁ、日永祈…。俺の事も、虎杖達みたいに名前で呼んでくれないか?」
あ「え?名前?いいけど、どうしたの急に?」
伏黒自身もどうしてなのかは分かってない
ただ、虎杖も釘崎もあやめから名前で呼ばれてるのが、少しモヤッとしたのだ
これが、どんな感情なのかは伏黒にはまだ分からなかった
あ「ふふふっ、伏黒君ってなんか猫みたい♪」
伏「はぁ?…猫じゃねぇよ」
そう言ってくすくす笑うあやめ