第30章 sprout2 佐久早
「歩ちゃーん、こっちこっちー」
待ち合わせをしていたオシャレなカフェに到着すると、奥のソファ席から黒髪ロングが美しい女性がこちらに向かって手を振っている
「すみません、仕事が中々終わらなくて」
「全然、お疲れ様!」
そう言って私のテーブルに水の入ったグラスを置いてくれた彼女は、木兎さんの奥さん
「歩さん、何にしますか?私ら今日のオススメランチにしよかって話してたんですけど」
メニュー表を差し出しながら関西弁で話す彼女は宮さんの彼女、宮さんの彼女は明るめの髪色でオシャレな今時の若い子って感じ…って2つしか歳は変わらないんだけど、この子に会うと私って地味だな…ってか老けてるなって思ってしまう
この2人とは試合を観に行くうちに仲良くなって、こうして定期的にランチ会を行う仲だった
「あ、じゃあ私も同じのにしよっかな。店員さん呼びますね」
店員さんにメニューを伝えると、食後の飲み物を聞かれる
「私、ホットコーヒーで」
私が答えると、宮さんの彼女も同じので!と言う
それに続いて木兎さんの奥さんは
「カフェインレスのコーヒーありますか?…あ、じゃあそれで」
と注文した
「カフェインレス…まさか、おめでたですか?!」
宮さんの彼女が言うと木兎さんの奥さんは
「そう、もうすぐ5ヶ月なんだ」
と言って、ワンピースの上からお腹を撫でる
座っているから分からなかったけど、そう言われれば少しお腹がふっくらしてるように見える
「わー、5ヶ月やったらもう性別分かってるんですか?」
「男だよ、また」
「えーーー!三兄弟?!」
関西人の宮さんの彼女はリアクションが大きいけど、これは宮さんの彼女でなくても驚く
木兎さん夫妻は私と臣くんが付き合い始めてしばらくしてから付き合い出したにもかかわらず、それからすぐに出来ちゃった結婚して、今男の子が2人いる
そして今3人目…
「三兄弟じゃないよ、四兄弟だし」
「あはは!それもしかして木兎さんのこと?!確かに〜!」
「しかもアイツが1番手掛かるからね!」
木兎さんの奥さんが言うと、2人で思わず爆笑した
〜♪
「…っと、噂をすれば手のかかる長男から電話だわ。ちょっとごめんね…もしもし?光ちゃん…?なに?!は?!いや、意味わかんないから!どういうこと?…ちょ…ハァ…」