第19章 second 黒尾
「そうだね」
何故か正直に答えてしまった
何て言われるかな
最低とか最悪とか
ビンタの1つもされるかな?
とか考えてると、彼女はスルリと俺の下から這い出る
歩はベッドサイドにあった水を一口飲むと、俺の方を向いて
「いいよ、2番目で」
と言った
予想だにしなかった答え
つまり歩は俺の浮気相手になるって言ってる
そりゃ俺にしてみればこんなに良い女がセフレだなんて願ったり叶ったりだけど
それから俺たちの秘密の関係が始まった
大体夜ご飯を食べに行って、ホテルに行くってのがお決まりのコース
不思議なことに歩は彼女の話を一切しない
別れろとも言われないし、連絡もしつこくない
彼女とデートしてて1日連絡を返さなくても、何も言わない
歩は捉え所のないネコみたいな子で
気がつけば逆に俺が気にするようになっていた
「ねぇ、ねぇってば!鉄郎聞いてる?!」
「ああ、ごめん」
「なんか最近すっごい上の空だよね?!私といるのそんなに楽しくない?!それに夜久くんに聞いたよ?コンパみたいなのに行ってるって!まさかそこで浮気したりしてないよね?!」
彼女が詰め寄ってくる
心当たりがあるだけに何とも言えない
「まさか、人数合わせで呼ばれてるだけだから」
「本当?もし浮気したら高校時代の友達みんなに言うからね」
はぁ…
疲れる
こんな日は無性に…
歩を抱きたくなる
でも、俺のことを好きなのは歩の方なんだから
歩は都合のいい時に俺に呼び出されて、朝まで抱かれて、文句も言わずに隣にいる
少しはヤキモチ妬いたり束縛したりしたっていいのに
なんて思って、この関係が半年続いたある日
イジワルな提案をしてみた
「ねぇ歩チャンさぁ、俺に誰か可愛い子紹介してよ
週末3対3くらいで飲みに行かない?」
俺の腕の中で少し考えるような素振りをした彼女は
「分かった、2人誘えばいいんだね」
と答えた
ー週末
彼女が連れてきた職場の同僚という2人は、かなりの美人だった
どんなレベル高い会社なのよ
でも
何でだろう
歩ばっか気になる
彼女の気持ちを確かめようとして、気づいたのは自分の気持ちだった