第2章 party
そんな中
ある受賞式の後
ホテルの宴会場で開かれたパーティーで、彼女の姿を見つけた
受賞者の挨拶が一通り終わり歓談の時間になると
すぐにアンナは会場後方の扉から廊下へと出て行ってしまった
僕が後を追って廊下へ出ると
アンナは地下へと降りるエレベーターを待っていた
今度こそ邪魔が入らないよう祈りながら
僕は彼女に声を掛けた
「…お疲れ様!……今回も…新人賞おめでとう…」
『……そちらも……大賞おめでとうございます…』
「……もう…帰っちゃうの?」
『………ぁ………パーティー…苦手で…』
「……そっか………残念だな…………ニューヨークに行ってしまう前に……君と仲良くなりたいって思ってたんだけど…」
『……』
その時
ドアが開き
アンナはエレベーターに乗り込んだ
『……だったら……一緒に帰りましょ…』
「……ぇ…」
顔を上げると
黒い瞳が真っ直ぐに僕を見つめていた
閉まるドアの隙間を縫って
僕の身体はエレベーターの中に吸い込まれた