第3章 バレンタイン※爆豪勝己の場合※
バレンタイン当日
カバンの中に入れてもかさばらないようにと小ぶりの包装で甘いものを包む。
人によって中身はそれぞれ工夫されており、生チョコやクッキーカップケーキなどで教室中がなんとなく甘い香りに満たされる。
この日ばかりは男性陣も学校には早く到着しており、そわそわしながら教室に入ってくる人物が女性なのかそうでないかで朝の挨拶をしたりしなかったり。
峯田「おはよう戦場ちゅあん、この僕にあげるものあるんじゃないかい?」
ガラリと開けられた教室の扉から入室してきたのは、1-Aのひそかなアイドル戦場と仲良く手を繋いで入ってきた爆豪だ。
しかし爆豪はかなりむすっとしている。
誰がどう見ても不機嫌だ。
なにか爆豪に言おうものならいつものが鳴り声で罵声を浴びせられること間違いなしという顔だ。
何食わぬ顔で手を繋ぎ続けられるのはこの世でも戦場しかいない。
峯田に話しかけられた戦場は、おはよ!と返しながら爆豪の手をスッと離してカバンの中を漁り始める。
「はい!これ峯田君の”義理”チョコ!巨峰をチョコでコーティングしてみたよ!」
峯田「おほほ~!さすが戦場!俺の天使だぜギャァ」
爆豪「誰が誰の天使だって?もっかい言ってみろクソモブがア”ァ”?」
バチバチと手のひらを極小規模の爆発を起こしながら峯田の頭を鷲掴みにする。
完全にだれがどこからどう見ても八つ当たりなのだが、戦場はいつものじゃれ合いと判断してどんどんとチョコを配っていく。
「はい!麗日はモモだよ!」
麗日「わ、わーアリガトー」
そんな光景を見ているものだから素直に喜んでいいのか複雑な思いを抱えた麗日であった。
「緑谷くんはチョコミント!お口に合うといいんだけど」
爆豪「おいコラクソデク!ありがたくもらって一週間かけて大事に食えよわかったか!」
BOM!BOM!と辺りに火花を散らす爆豪。
戦場はコイツに特別な感情はないと分かりきっているが、自分がもらえていない分イライラは積もりに積もる。
それを見た緑谷はヒィィィと戦場から受け取った小さな包装をいそいそとカバンの中に入れた。