第2章 ……という女
天狐とは妖狐の中では最も位の高い妖
人の手により痛めつけられ強力な呪霊になったという
特級呪物として1200年前に封印されている
だが、天狐の性質として
良く言えば器用
悪く言えば厄介
という具合で4年に1度再封印をしなければ
隙間から呪力が溢れてくる
その呪力を餌に大量の呪霊達が集まる
その呪霊達を食い尽くして天狐が強くなる
という悪循環が続くことから
力量こそ両面宿儺には劣るが
厄介な存在として特級呪物に分類されている
「そうだね
君が12歳になる日、高専の地下で儀式が行われる
あんまり言いたくはない話だけど
君に天狐を移し
器として認められた場合そのまま封印
器として認められなかった場合はそのまま死ぬ」
五条さんはゆっくりと私をなだめるように話す
「どっちにしろ私は死ぬって事ですね」
「随分と飲み込みが早いね」
五条さんは苦笑いをする
「何となく察してはいましたから…
この感じだと私が生まれる前から決まってたんですよね?」
コーヒーを口に運びながら五条さんに尋ねる
父の私だけに対する口数の少なさ
母の私だけに向けられない笑顔
考えてみればわかる
あれは幼くして特級呪物の器になる子供への同情
そして自分じゃなくてよかったという安堵
「うん…君は器になる様に作られた人間だ
呪力が多くなるように
昔から子供を計画的に作ってたらしいよ」
どうりで昔からやたら定期的に
健康診断があったわけだ
普通の健康診断ではなかったが
「そこで全てのチェックがオールクリアしたのが
ひおりちゃんだったってわけ」
私はふぅ…とため息をつきながら
ぐったりと背もたれにもたれ掛かる
何となく察していたとは言え
実際話を聞いてしまうとショックが隠せない