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もう1人の器【呪術廻戦】

第2章 ……という女


そして、時は少し流れ現在から4年前





「父上…」



「私語は慎みなさい」



こちらをちらりと見ることもなく父上は言う



「…申し訳ございません」



父上は昔から厳しいお方だった



日常生活や食事中…


稽古に至っても口数は少なかった



その反面か稽古は他の者より厳しく


空き時間はほぼないと言っていいほど


私は物心ついた頃から稽古に明け暮れた



そんな父上を見て母上は難しいお顔で



「貴方の為よ



…あの人は不器用な人だから」



と決まって言うのだ



学校にも行かず呪術師としての稽古


最低限の勉強…これは私の為なのだろうか



私だってもう来週には12になる


昔に1度漫画で読んだ恋でもしてみたいものだ



勉強の時間は自室に籠り


ただひたすら冊子に書かれている問題を解くだけ



いい加減大学の問題も飽きたわね


どうして頭のいい大学の問題は


こうもひねくれた物ばかりなのかしら



「ひおりさま」



不意に障子の向こうから声がかけられた



私が小さい頃から身の回りの世話をしてくれている


久我(こが)だ



「何かしら」



ス…っと障子が音もなく開かれる



よくも涼しい顔してそんなことが出来るわね…



久我は障子の開け閉めの際に


極わずかな呪力を使い音が出ないようにしている



久我は呪力が一族の者と比べてかなり少ない



だが、扱いは一族の中ではトップクラスだ



「失礼致します


お父上がお呼びでございます」



「わかったわ


すぐに行くと伝えて


稽古場でしょ?」



父上が私を呼び出す時は


誰かと手合わせをさせる時くらいだ



私は普段着の着物から着替えようと立ち上がる



「いえ


お父上の書斎でございます」



「え?」



父上の書斎などもはや立ち入り禁止と言って


過言ではないような場所だ



「それでは久我はこれで下がらせて頂きます」



「え…えぇ…ありがとう」



一体どういう事なのだろう



あの父上が稽古場以外の場所に呼び出すだなんて



私何かやってしまったのかしら


まったく見に覚えはないのだけど…



待たせると怒られるので


私は急いで書斎に向かう
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