第10章 満月の夜
ー宿儺sideー
みなが眠りにつく午前零時
俺は足早にとある場所へ向かった
今夜は星々は隠れ代わりに満月が
あいつの所へと導くように道を照らす
敷地の中でも1番高い建物の屋根の上
「遅いで、宿儺」
「悪かったな
これでも…大急ぎで来たのだがな」
天狐の隣に並んで腰掛ける
いつもは見上げることのない空も
今日は綺麗によく見える
髪は白くなってしまったが
何も変わってない
美しく艶やかなままだ
「祝いだ」
俺は懐から小さな酒瓶を出した
「気が利くようになったやん」
天狐は嬉しそうに酒瓶を煽る
「っはー…
いつぶりの酒やろか
最近のはまたうまなったなあ」
天狐はまた1口呑んでゆっくりと息をついた
こうしてまた隣に入れるだけで
こんなにも嬉しい気持ちになるのは
昔からもこの先もこいつの隣だけだろうな…
「ずっと…謝りたかった」
「何がだ」
天狐はゆっくりと話し出した
「宿儺を1人にさせたこと
あの時のあてにもう少し力があれば…」
天狐は苦虫を噛み潰したような顔をしている
違う…
あの時は全て俺が悪いのだ
ちょっと遊んでやろうと手を抜いていた
その一瞬の隙を狙われた所を天狐に助けられたのだ
「っ…間抜けなことを…
謝るのは俺の方だ」
天狐が俺を庇った時の事を思い出すと
今でも胸が苦しくなる