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短編集

第3章 ダイヤのA*沢村栄純 「ムカつく先輩のお姉様」


それからしばらくしてから気がついたこと。気がついたと言うより、わかったこと。
インコースに投げられなくなってしまった。イップスだと言われた。

期待して欲しい、俺はエースになる、いっぱい大きなことを言ってきた。それがこのザマ。さらに落ち込むこともあった。
でも、ここで崩れたらそれこそダメな気がするから。だから、ちゃんと強くならなくちゃ。


そんなとき、知らないアドレスから届いたメール。


『こんばんは。なんか最近元気がないと聞きました。君の元気がないというのはいろいろと意外で、少し驚いてしまったよ。試合、見ていたよ。最後の方だけだけど。君は頑張っていたよ。すごかったよ。感動した。でも勝てなかったことは事実として残っているね。だからそれを糧に頑張ってほしいと思う。こんなことを言える立場ではないかもしれないけれど、応援しているよ。心を強く持つことが大切だよ。それが君の取り柄じゃないのかな?』


誰からのメールなのか、差出人の名前すらない。だから俺はこう返信した。


『ありがとうございます。また試合来てください。その時は今度こそ絶対に勝って見せますから!!!』


誰であったとしても、この返信なら当たり障りないものだと思った。
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