第3章 ダイヤのA*沢村栄純 「ムカつく先輩のお姉様」
夏の大会、地区予選前
俺はブルペンで御幸先輩に受けてもらっていた。
「もうそろそろやめとけよ。」
「いやだ!まだ投げる!!」
「御幸せんぱーい!栄純くーん!休憩!差し入れ来たよー!」
そこに遠くから春っちの声が聞こえて俺たちはグラウンドの方へ向かった。
「あ、姉ちゃん。」
差し入れをしてくれたであろう女の人にむけて御幸先輩がそう言った。
「姉ちゃん?……志弦さんって御幸のお姉さんだったんだ。そういえば苗字一緒だね。」
「あれ?一也、言ってなかったの?」
「別に言う必要ねぇし。」
亮さんに志弦さんと呼ばれたその人が御幸先輩と話してるのを聞く限り、本当に姉弟らしい。
「あ、えっと、じゃあ改めて。御幸志弦です。そこのバカの姉で、大学2年。2年前までマネージャーでした。だから3年生とは顔見知りだね。」
御幸先輩のお姉様はそう自己紹介した。