第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
「いらねぇよ!」
「そう言われましても、こちらも上司からの任務ですので。」
「まぁまぁ、兄さん。いいじゃん。人数多い方が旅も楽しいよ?」
「でもよ、アル。護衛とかいると思うか?今までだってなかったわけだし、実際オレら強いし。」
不貞腐れる兄をどうにかして宥めようとする弟は、完全に人の話を聞かないオーラ満開の兄に呆れ果てていた。
「では、私は遠くから見ていることにします。あなた方はこれまで通り2人での旅を続けてください。」
青い軍服に黒いジャケットを羽織った彼女はスタスタとどこかへ消えてしまった。
「兄さんが我が儘言うから志弦さん行っちゃったじゃん。」
「それでいいんだよ。あんなやつに守られてたまるか。それにあいつもまだ子供だろ?」
「確かにそうかもしれないけど、ボクたちより年上なんだからもっと敬意を払わないと。」
「あんな真面目全開のお堅いやつ、オレは嫌いだ。ほら、行くぞアル。」