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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第15章 蓮華



「ホントはね、無惨様が君の血が危険だから触れるなって言ってなかったら、君の胎盤を食べるためにもっと早く攫う予定だったんだ…。でも、血がダメなら、その稀血の匂いがこの教会に広がっては俺に毒だろう?」

吐きそうだ。
悪寒が全身をめぐり
全身がこの男に捉えられているのを拒否している。

黒死牟がわたしの血の話をして、それが無惨に知れたとしたら、この鬼が何ら知ってておかしくない。

子が生まれたことも、刺客がわたしたちを嗅ぎつけていたとするならば知っていてもおかしくない。

この鬼は身の毛のよだつことをさらりと屈託のない笑みを浮かべながら話す。

鬼を知らぬ人間ならばこんなことは直接話すまい。
この男を鬼と知っているわたしだからこそ話しているのだろう。

いずれにしろ、狛治が猗窩座だったころですら、そんな話を私にしたことがないし、しないだろう。

それは黒死牟だとしてもそう。

「おやおや?顔色が変わってきたね。
どうしたのかな?俺が君の胎盤を食べたいって言ったのが気持ち悪かったかな?ふふふ、ごめんね。
俺、相手が俺が鬼だってことを知っていれば何でも言っていいって思ってたんだ」

不快感が苛立ちに変わってくる。
いや、これ以上耳を貸してはいけない…。
感情で振り回されても力が削られてしまいそう。

「血が止まったばかりだったんだね。今でも動くことさえ苦しそうだ。可哀そうに…。喋ることもままならないんだろう?」

嘘っぱちの涙を流して、鉄扇で隠した口は笑っていそうだ。
目を閉じれば済む話かもしれないけれど、ここまで至近距離では、何をされるかわからず隙を生じさせるかもしれない。

「辛いね。でももう少しの辛抱だ」

わたしが話さないからか、次々と容赦なく笑顔で話し続けようとする。

わたしが閉じることのできない目を見ながら。

もういい加減黙っていて欲しい。
だからといって、今、まだ全回復もしていないのに、中途半端なところで怒りをむき出しにして暴れる事は得策ではない。

「大丈夫だよ。もし、猗窩座殿が来たら、一緒に殺してあげるからね。
一人よりそっちの方がいいもんね」

狛治はもうあなたよりは強いだろう。
父が認めた人だから。
あれだけ稽古つけててまだまだ敵う隊士などいないのだから。

怒ってはいけない。

大丈夫よ…


無邪気な挑発に乗ってはいけない…。
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